運動に関する基礎知識、そしてスポーツ科学から武術運動へのアプローチ
Basis of Sports Science

1.武術と400メートル競争
2.疲れるのって嫌なこと?
3.ダイエットの基本功
4.緊急事態発生
5.メンタルトレーニング
6.さあ!何を食べようか
7.オフ・トレーニング
8.力はどこから来るのか
9.いろいろな方法
10.アイソメトリックトレーニング
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1.武術と400メートル(套路中に体の中で何が起こっているか)

「長拳の全套」と「400メートル走」のしんどさは良く似ていると言われます。 400走は100mスプリントとも長距離のマラソンとも違います。
100mは無酸素運動(注1)でパワー系(瞬発)の運動です。 そして、3分以上持続する運動は有酸素運動(注2)ですから、当然マラソンはエアロ ビクス運動となります、これは、スタミナ系(持久)の運動と呼べるでしょう。
では、400メートル(長拳の全套)はどんな種類の運動になるのでしょうか? 400メートルの世界記録は約43秒です、つまり400メートルを無酸素運動の範囲 でゴールに入ってきますが、一般の人では一分を軽くこえてしまいます。
つまり、400走は長拳の全套と同じぐらいの時間になるわけです。 ですから1分20秒を超える長拳の全套は、乳酸系の運動が切れて有酸素運動が始まる 前の、パワー系運動とスタミナ系運動のさかいめのもっとも厳しい運動と言えるかもし れません。
では何故、パワー系とスタミナ系のさかいめが厳しい運動なのでしょうか? 長拳の套路を組み立てる時の配分は、一段二段に跳躍などの運動量の大きな演技を多く 入れて腕・脚の筋力で套路を行い、後半の三段四段では比較的運動量が少なく、身法の 力をたくさん取り入れた套路となっています、そして後半に力を残すように考えられ ていますが、それでも、やはり後半はしんどいですね。
  それは、力を出さなければいけない、前半はちょうどパワー系の運動体系でスピードを 出すことが得意ですが、後半はパワー系の運動体系が切れてスタミナ系に移る前の、出 すべきエネルギーがない状態でやらねばなりません。でも套路はスピードを、おとさず に行わなければならず、つまり、「非常にしんどい!」というわけです。
無酸素運動=アネロビクス系運動(anaerobics)とはスタートから 30秒までに終わる、ATP-CP系運動と30秒から1分までの運動、 乳酸系運動の総称です。
ATP-CP系運動  全ての運動はATP(アデノシン三リン酸)という物質が筋肉を収縮させることで 起こるわけですが、ATPは筋肉の中にごく少量しか蓄えられていず、再合成には CP(クレアチンリン酸)の分解が必要です、しかし、この持続時間も長くて30 秒ほどしか持ちません。

乳酸系運動 つぎには筋肉中のグリコーゲンが分解されてATPが合成されるのですが、同時に 乳酸が生成されます、この乳酸系の運動は約40秒でピークを迎え、約1分間で 終了してしまいます。 ちなみに乳酸は疲労物質と呼ばれるように、筋肉に蓄積されると筋肉の収縮能力 が低下してしまいオールアウト(売り切れ状態)になってしまいます。

注2 有酸素運動=エアロビック系運動(aerobics) ATP-CP系、乳酸系の運動では酸素を必要とされませんが、短時間でエネルギーが 消費されてしまいます、その後運動を続けると呼吸が激しくなって、体内の脂肪が分解され最終的にATPの原料になります。
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2.疲れるのって嫌なこと?(疲労回復のシステム)

一口に疲労と言っても、疲労には大きく分けて二つの側面があります、肉体的疲労と精神的疲労です、 そして肉体的疲労の中にも一過性のものと慢性のものがあります。
疲労のメカニズムについては、現代の科学でも正確には明らかにされていないのですが 現在分かっている疲労の代表的な原因には、
(A)エネルギー源の枯渇、(B)疲労物質の蓄積、(C)内部環境の失調、 などがあげられます。
つまり、前月のワンポイントでも述べたように、運動中には筋肉中のATPの欠乏さらに グリコーゲンの分解による、グリコーゲンの欠乏(A)と疲労物質である乳酸の蓄積(B) などがあります、また肉体には体温や呼吸脈拍を一定に保とうとする働きがあるため、 例えば気温の高いときに運動をすれば、体温の上昇を抑えるため発汗が起こり、そのため 体内の水分が欠乏してしまい、体内環境の失調が起こります(C)。
それに対処する方法として、(A)に対しては、筋肉の量を増やすことによって筋肉中の ATPのの貯蔵量を増加させることが出来ます。(B)はトレーニングを積むことによっ て乳酸の蓄積に耐える能力が高くなって行きます。
(C)に対しては、汗をかくまえに、水分補給を充分に行うことにより解決ができます、 ただし、汗をかいてから、あわてて水分をとったとしても疲労した内蔵は水を満足に吸収 してくれず、いくら水を飲んでも渇きはいやせません。 ですから、運動をする前に汗の元である水分を充分とり、運動中でも汗をかけば頻繁に少 量の水分を補給するように心がければ水分の欠乏には対処できます。

疲労回復について
とは言っても、疲れる時は疲れますよね。 武術の全套を通せば誰でも疲れ切ってしまいます、でもその時にその場に座り込んでしまうより 軽く動くことにより、蓄積された乳酸の分解が素早くされます。 これを「積極的休息」と呼び、安静状態「消極的休息」に比べ半分の時間で回復します。

食事で回復
運動直後では、肝臓や筋肉内のグリコーゲンが消費されてしまい、血糖値が低下し全身の 細胞がエネルギー不足の状態になっています、ですから糖分の補給を運動終了後に、でき るだけ素早くおこなうといいでしょう。 例えば、ジュースなどの糖分を含んでいる飲み物、食べ物などを取ることです。 さらに、大事なことは運動終了後30分以内(身体のエネルギー代謝が高いうち)に食事 をとることで、食事による疲労回復の効果が大きくなります。

疲労とつきあう
いずれにせよ、運動と疲れは切り放せない関係です、逆に考えれば、疲労することにより より強い肉体が作られて行くわけです、ですから疲労をむやみにおそれず上手につきあっ ていくことが大事なんですね。

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3.ダイエットの基本功

現代人のほとんどの人が(必要のない人まで)みんなやせたいと思っています、やはり スリムな体型にはあこがれを持ってしまうようですね。
そこでダイエットの方法も「リンゴ・ダイエット」や「ダンベル・ダイエット」「ボクサ サイズ・ダイエット」… など色々なダイエットの方法が紹介されています。
今回は、ダイエットの基本中の基本を三つ挙げてみましょう。 人間の身体と言うものは不思議なもので、なかなか計算どおりにはいかないのですが 基本的に消費エネルギーが摂取エネルギーよりも大きければ痩せて、小さければ肥えて いきます。
つまり、当たり前の話ですが、食事のカロリーより運動カロリーが大きければダイエット は成功します。

ですから3つの基本というのは、現在の生活パターンより、
1.食事の量をそのままで、運動量を増やす。
2.運動量はそのままで、食事の量を減らしていく。
3.食事を減らし、運動量を増やす。
と、この三つしかありません。
ただし運動をせず、極端な食事制限をした場合には、生活に必要な最低限の筋肉すら落として しまうため、代謝異常をおこし深刻なリバウンドがおこる場合もありますので、要注意!!

基本はこうですが、食事をとるパターン、運動をするパターンを少し工夫すると、同じ食事、 同じ運動量でダイエットする事が可能です。

食事の摂り方
例えば、相撲取りは少しでも太ろうとするため、日々努力しています、彼らの食事の摂 り方は、一日に二食、それも一度にドカッと食べて、後は寝ています。 ですから彼らと逆の食事パターンを取り入れればいいわけです、つまり一日に食べる回数 を3回ではなく5回、6回に小分けにして食べるのです。
人類の歴史は、いわば飢えとの戦いでもあったわけで、現在の飽食の時代と言うのはご く最近の特異なケースとも言えるわけですね。 ですから、人間の身体は飢えに対する防御として、皮下や内臓のまわりに脂肪を蓄える ように出来ています。
つまり、一日に一度や二度しか食事を摂らないと言うことは、軽い飢餓の状態になるわ けで、身体は自分の意志と関わりなく脂肪を貯めようとするのです。 ですから、いつでもお腹が空いていない状態であれば、身体はいつでも栄養分を摂れる と油断して、脂肪を貯めようとしないのです。
当然ですが、少量を少しずつ食べても、その全体量が以前より増えてはなんにもなりま せん、ですから、特にカロリーの計算は必要となってきます。

食事後の運動
食事を取ると分泌されるインシュリンの作用で、血中の脂肪が心臓や筋肉に取り込まれ る門(ゲート)が閉じられてしまい、さらに脂肪組織に取り入れられるゲートが大きく 開かれるため、食事で摂った脂肪分は、皮下や内臓の脂肪組織に蓄積されていきます。 そこで、食事後に軽い運動(散歩やダンベル運動)を10分ほどすると、心臓や筋肉に 取り込まれるゲートが開かれるため、脂肪が蓄積されず分解されていくのです。 ですから、食後に軽い運動をする、それと食事(特に夕食時)に脂肪分の多い食べ物と インシュリン分泌力の強い食べ物(例えば炭水化物、糖質)をなるべく一緒に摂らない ことが効果的です。

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4.緊急事態発生

武術に限らず、どんなスポーツにもつきものなのが、突然のけがや故障です。
武術に多い故障と言えば、捻挫、肉離れ、裂傷、脱臼、腱・靭帯の損傷などですが、 その他に骨折、擦過傷、打ち身などがあります。

練習中に、誰かが怪我などをした場合、第一に重要なことは怪我人を動かさないことです、 そして彼に何が起こったかを見極めなければ成りません。
あわてて動かしたために怪我がひどくなる場合もあります、 万一脳溢血などの場合には動かすことが生命にもかかわってきます。

■外傷のある場合
切り傷、擦り傷などの怪我のため出血がある時は、まず消毒薬などで消毒の後、 さらに多量の出血などがある場合には、止血帯などで止血をしなければ成りません。

■外傷のない場合
捻挫、脱臼、打ち身、肉離れなどの場合ですが、内出血を起こし腫れるのを防ぐために 「安静」「冷却」「圧迫」「上挙」などの処置「R・I・C・E」が必要です。
つまり、ビニール袋などに入れた氷を患部に当て、包帯などで圧迫を加え、 患部を心臓より高く持ち上げ、患部を動かさずに安静にしていることが必要です。
氷がない場合でも、とりあえず水で冷やすように心がけるといいでしょう。

いずれにせよ、怪我をした本人もですが、まわりの者も驚いて パニック状態にならないように気を付けたいものです。
そして、怪我の状況により外科、整形外科などの専門医に見てもらう必要があります。
また捻挫などは、習慣的になりやすいため、 捻挫防止のテーピングなどの予防処置を取っておくことも必要です。

怪我をしないことが一番ですが、もし起こったときにどう対処するかが重要です、 おたがいに注意して対応するように心がけて下さい。
怪我の防止にはウオームアップも大切ですが、整理体操・クールダウンも大切です。

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5.メンタルトレーニング

いよいよ大会と言う時にどれだけ、普段の練習の成果を出せるかがいい成績に繋がってきます。 ただ、どんな場面でも、普段の練習の実力が出すことが出来ればいいのですが、 時には人はあがってしまいます、そんなときには十分に普段の実力を出す事が出来ずに、悔しい思いをすることがあります。

「あがり」には次の要素があります。
 1.喉がつまったようになる、唾液が粘つく、などの自律神経系の緊張。
 2.注意力の散漫、あせり、などの心的緊張力の低下。
 3.身体が動きにくい、、力んでしまうという運動能力の低下。
 4.失敗したらどうしょうという、不安感情。
 5.対戦相手がうまく、落ち着いているように見えてくる、劣等感情。

などです「あがり」には心理的な面だけでなく、肉体的生理的にも変化が現れてくるわけですね。
ではあがらず、練習時の実力を発揮するためはどうすればいいのでしょうか、 それにはふだんよりのメンタルトレーニングを行うことで、精神力の強化、自信などが得られます。

現在考案されているメンタルトレーニングの内容は
 1.リラックスすること
 2.イメージを描き、心理的なコンディショニングを行う

の二つが中心になっています。

リラックスは武術でお馴染みの「放鬆・ファンソン」でもあるわけで、「あがり」が緊張によって生じる事からも、 気持ちをゆったりとリラックスさせるのは当然必要です。
次に、「イメージを描く」ですが、こちらの方がメンタルトレーニングの中心になっているイメージトレーニングです。<

もともとイメージトレーニング(以下、イメトレ)は体を動かさずに運動のイメージを頭で描き技能練習するトレーニング法で、 自分の心理状態をコントロールして、大観衆の前で堂々と表演している自分をイメージすることで、「あがり」の解消には有効な手段です。

また、イメトレには技術的な向上と強い精神力を作り上げるためのプロセスがあります。
 1.自分の問題点(失敗しやすい箇所やいつも注意を受ける所)の発見。
 2.自分の目標を明確にする(技術のレベルアップ、試合の目標など)。
 3.目標を具体化するためにはどうすればよいか(ステップ・アップの分析)。
 4.目標をクリアーしていく自分をイメージに描く(書いたり、録音する)。
 5.毎日時間を決めて(4)で作った最高の自分のイメージを思い描く。

普段からこのようにイメトレを行っているといいのですが、いざという時のあがり解消法には
 1.キーワードを決めて、そのキーワードを思うと特定のイメージが浮かぶようにする。
   例、「放鬆」を思い浮かべると=気分が落ち着く、「加油」だと=ファイトがわいてくる
 2.自分は勝利者だ、誰にも負けないと言う「自己概念」を持つ「自己暗示」をかける。
 3.点数や順位を意識しないで、自分の最高の演技をしようと考える。
 4.もし緊張してきた場合には、胸を張る、そして顔を上げる、天井を見る、深呼吸をする。
 5.トイレに行った時、おしっこと一緒に緊張した「気分」も身体の外に出すイメージを持つ。

などが効果的な方法です。いずれにせよ、自分自身で緊張と付き合わなければなりません。 試合で名前を呼ばれ、コートに入る時「今から約1分30秒の間、この8×14のコートは、自分 のために与えられたものだ、実力を出し切って表演するんだ」と積極的に思うことがとても大事です。

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6.さあ!何を食べようか

昔の話ですが、高校球児は試合前の食事に「敵に勝つ」と言う語呂合わせで「ステーキ」と「トンカツ」を食べていたようです、 いかにもスタミナが付くような食事なんですがはたして、それは試合前の食事として正しい食事だったのでしょうか?

結論から言えば、試合前は「ステーキ」などの肉食よりも「炭水化物」をとるべきです。
試合前の食事には消化が良くすぐにエネルギーになるものを選ぶべきですね。 肉食では消化するためにもエネルギーが必要で、消化しきるまでにも時間がかかります。 もし試合の時間になっても、胃の中に未消化の肉があれば、体が重たいだけでなく胃に血液が集中してしまうため当然動きが鈍ってしまうでしょう。

では試合の前日までにとる食事はどのようなものがいいのでしょうか、私たちはマラソンやトライアスロンをするわけではないので、 厳密な「カーボ・ローディング・注1」は必要ではありませんが、肝臓と筋肉中に充分なグリコーゲンを貯めることは必要です。 そのために炭水化物が多量に含まれている食品、ご飯、麺類、イモ類などの割合を普段より多く食事にと入れると良いでしょう。

試合当日の食事は、競技が始まるときにはすでに消化しきり、また空腹感が起こらない程度の時間が理想でしょう。 その条件を考えれば競技の2〜3時間前に軽い目の食事をとるといいでしょう。 食べるものは、もちろん炭水化物を多く含んだ、消化の良いもの、「うどん」「パン」「ご飯」そして「ケーキ類」などもいいでしょうね、 当然多量の肉類はさけるべきですが「豆」「イモ」「ナッツ」類などの繊維分の多いものは腸内に「ガス」がたまるためにこれもさけるべきです。

また、一日に何種目も出場する人は「朝食」「昼食」の時間にとらわれず、タイミングをうまく計り食事をとって下さい。 一度に多量にとらず、「バナナ」や「おにぎり」「チョコバー」などを少しづつとるといいでしょう。

そして、水分の補給も十分にとらなければなりませんが、利尿作用のある(おしっこの出やすい)「コーヒー」「紅茶」「ウーロン茶」 などはタイミングを考えてとるようにして下さい、それに胃がもたれる、炭酸飲料も気を付けなければいけません。

いずれにせよ、マイナスになるものはなるべく食べないようにするべきです。

注1、「カーボ・ローディング」 マラソンのように、競技時間が長い競技のときに、体内の筋肉や肝臓にグリコーゲンをため込む方法で、一週間ほどの食事のコントロールが必要です。

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7.オフ・トレーニング

全日本大会に出場し自分の目標を達成できた人、またアクシデントがあり、十分に実力が発揮できず悔しい思いをした人も大勢いると思います、 それにめげずに次の全日本大会に向けて、また気持ちを新たに練習をして行きましょう。
また、今年の全日本大会に出場しなかった皆さんも、次には出場できるようにがんばって練習して下さい。

大会が終わればひと休みをしたいところですが、シーズンオフに入ったこの時期が、大会前には、やりたくても出来なかったことが出来る時期というわけです。
例えば新種目や普段から感じている基本のレベルアップ(柔軟性、筋力トレーニングなど)がこの時期には充分に挑戦できます。

新種目と言えば長拳、南拳などの拳術だけしかやっていない人は、器械を新たに始めませんか? 短器械なら剣や刀、長器械なら棍や槍などを、 基本的には自分の好きなものを選んで下さい。
また長拳三種をやっている人は、伝統器械や伝統武術などを始めるのもいいでしょうね。
新種目の選択、器械類を手に入れるには指導員に相談して下さい。
また、今やっている種目の強化やレベルアップを本格的にやってみようと思う人も、基本に戻ってみるというのはどうでしょうか?
圧腿や(足易)腿からもう一度洗いなおしてみる、歩行練習を徹底してやってみる、または筋力トレーニングを始めると、 案外今までわからなかったことが見えてくるかもわかりません。
いま現在うまくできない動作、技術も柔軟性を付けることまたは筋力を付けることで、うまくできない動作が突然あっさりと出来てしまうこともあります。

また、余分なウエイト(脂肪)を落とすこともいい考えかも知れません。
余分な体重のせいで、動きが鈍ったり膝を痛めたりと余りいいことはありません。

ただし筋肉を付けると必然的にウエイトは重くなりますが、身体全体はシェイプアップされて動きはよくなるはずなので、 単に体重だけを気にするのも意味のないことです。

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8. 筋力トレーニング・その壱・力はどこから来るのか

筋力レーニングの方法を説明する前に、筋肉自体の性質を考えてみましょう。
筋肉繊維はその働きによってFG繊維(速筋繊維)、SO繊維(遅筋繊維)、FOG 繊維(中間筋繊維)の三種類に分けることが出来ます。

■ FG繊維(速筋繊維)
FG繊維は発揮する筋力が大きく、素速く収縮しますが、疲労しやすいことも特徴です。
FG繊維の筋収縮のエネルギーは主にATPやグリコーゲンの分解によって得られます、これを無酸素機構と呼びます。
FG繊維は運動強度が最大負荷の75%以上の時に活動して、持続できる時間は約30秒ほどです、つまり軽運動時にはFG繊維は働かないわけです。
運動の種目としては100メートル走、投てき競技、ジャンプ競技、それからテニスやゴルフ、野球などのスイングなど、 そして武術の套路中の跳躍や発勁動作など(套路全体の運動ではない)の瞬発力がいる競技で使われる筋肉です。
また、速筋強化のトレーニングには最大筋力の70〜80%以上で行う必要があり、集中と興奮状態がないと速筋強化のトレーニングにはなりません。 つまり全力で行うときの運動が速筋強化のトレーニングとなるわけで、ゆっくりとマイペースでの運動は筋力強化は期待できないというわけです。
また随最大筋力は筋繊維を支配する神経系の興奮水準により変化します。
たとえば、選手が大きい声で気合いを入れる(shout)、またはピストルの発射音を聞かせたり(shot)する事によって、 最大筋力は普通の状態より10〜30%も高い数値を示します。
ですから、たとえば套路中のジャンプなどの時にかけ声を掛けるのことも、また南拳で発声することなどにも意味があるわけです。

■ FOG繊維(中間筋繊維)
FOG繊維は運動の強度が40〜75パーセントの時に活動します、そして持続時間は約90秒ほどになります
運動の種目としては200〜400メートル競走、スピードスケート、100メートル競泳そして武術(長拳・南拳)などの套路全体の運動です。

■ SO繊維(遅筋繊維)
SO繊維は発揮できる筋力は小さく、筋収縮速度は遅く持久力に優れています。
筋収縮エネルギーは酸素を必要とするので、有酸素機構と呼ばれます。
SO繊維を使う運動には、陸上競技の中距離・長距離・マラソンなど3分以上持続する運動です、 太極拳もこの種類にはいりますが陳式などの発勁部分はFG繊維の働きとなります。

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9.いろいろな方法

先月のワンポイントでは筋力の元になる筋肉繊維について説明しましたが、今月はもう少し具体的に筋力トレーニングについて考えていきます。
筋力レーニングを実施する場合の目的には、次ぎにあげる4つがあげられます。

■ 筋力の養成 ……………………………… 筋力アップ
筋力アップには最大筋力に近い負荷をかけ、3〜6回程度の回数(高負荷 低反復)で何セットか行います。 セットの間のインターバルは長め(約3分)にとります。

■ 筋肉の肥大 ……………………………… 筋肥大
筋肥大を目的とする場合は最大筋力の80%前後の負荷で行い、回数は6〜10回を繰り返します。インターバルは1〜2分とります。

■ 筋力とスピードの養成 ………………… パワーアップ
パワーアップのためには60%ていどの負荷で15〜20回行い、インターバルは2〜3分で行います。

■ 筋肉の持久力 …………………………… 持久力アップ
持久力アップのためには約40%の負荷で30〜50回の反復で、インターバルは1〜2分とします。  ただし、これは基本的な目安なので、それぞれ自分には筋肥大トレーニングが必要なのか、持久力のトレーニングが必要かは各自の判断が必要でしょう、 それぞれ自分にあったトレーニングを見つけてください。

最近のトレーニングの傾向としては、高負荷低反復のトレーニングが盛んになってきているようです、また20パーセント以下の負荷ではなんと、 筋力が増すどころか逆に衰えていくという報告さえあります。

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10.アイソメトリック・トレーニング(等尺性収縮トレーニング)

アイソメトリック・トレーニングは等尺性収縮を利用した古くからある有名なトレーニング方法です。
いつでもどこでも道具なしでトレーニング出来る方法といえます。

各部位のトレーニングを一日一回、6秒間全力でおこなうことで、確実に筋力アップが出来るため、うまく生活の一部にとり入れて、 習慣的におこなえば、かなりの効果をあげることが出来るでしょう。
また、体を動かす量が少ないので、電車待ちの時間、仕事や授業の合間、テレビを見ながらのトレーニングが出来るわけです。

「等尺性収縮」とはなんでしょうか。
筋の収縮の様式には、大きく分けて
等張性収縮(アイソトニック・コントラクション)、と等尺性収縮(アイソメトリック・コントラクション)の二つがあります。

たとえば、バーベルを持ち上げたり、引きつけたりするときには、筋肉の長さが変化するため「等張性収縮」と呼び、 バーベルをさしあげて一定の高さで止めた時には、筋肉の長さに変化がないので「等尺性収縮」と呼ばれます。
「アイソメトリック・トレーニング」の場合も筋肉の長さに変化がないため「等尺性収縮」を利用したトレーニングとなるわけです。
ちなみに、「等張性収縮」には「短縮性収縮」と「伸張性収縮」があります。

■上半身トレーニング

1)握力アップ
両手の指を胸の前で引っかけて、左右に全力で引き合う。

2)リスト
両手の指の平を上下に合わせ、お互いに押し合う。

3)腕力
左腕の手首でつかみ左腕は上向き、右手は下向きにお互いに押し合う(左右交互)。

4)肩の筋力アップ
1.右腕を左腕の上に上腕の内側を合わせて重ねる、そして右腕は下に向けて、左腕は上に向けて上下に押し合います。左右の腕を交互に行う。
2.左腕を胸の前でのばし、それを右腕で抱き抱え、左右に向かってお互いに引き合う。左右の腕を交互に行う。
3.左腕を胸の前で曲げ、それを右腕で押さえ込み、上下に押し合う。左右の腕を交互に行う。
5)首の筋力アップ
1.両手を額に当てて、お互いに押し合う。
2.両手を頭の後ろで組み、お互いに押し合う。
3.右手を右の側頭部に当て  て、お互いに押し合う、左右交互に行う。

■下半身トレーニング

7)足首(下腿部)
1.片足でつま先立ちする
2.片足立ちで、反対の足の爪先で床を蹴るように押す。左右交互に繰り返す。

8)膝(大腿部)
1.片足で立ち、反対の足の甲で軸足を前方に向けて押す。
2.片足で立ち、反対の足の踵で軸足を後方に向けて押す。
どちらも左右交互に繰り返す。

※いずれの場合でもトレーニングする部位を意識しておこなうと効果が上がります。

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